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足羽山(福井市)でヨコエビの新種を発見(広島大)

□研究成果のポイント□

◎地下水棲ヨコエビの 1 種をアスワメクラヨコエビ(学名:Pseudocrangonyx asuwaensis)として発表

◎日本列島の地下環境における生物多様性の高さを示すひとつの成果といえる

平成29年11月に七ツ尾口坑道(福井市)で採集されたメクラヨコエビ一種について、広島大学大学院人間社会科学研究科の富川 光教授の研究室と、京都大学大学院理学研究科の中野隆文准教授の研究室で形態とDNAに基づいた解析が行われた結果、新種であることが確かめられた。この成果は今年6月、ニュージーランドの動物分類学の学術誌Zootaxaに論文が掲載され、新種の正式な発表となった。

◆新種のヨコエビについて

名 称:アスワメクラヨコエビ (Pseudocrangonyx asuwaensis)

分 類:節足動物門甲殻亜門軟甲綱ヨコエビ目メクラヨコエビ科メクラヨコエビ属

分 布:福井市足羽山(今のところ、足羽山固有種)

発見者:梅村 信哉(福井市学芸員 )、吉澤 康暢(福井市自然史博物館元特別館長)

特徴体:色は半透明の白色。目は退化

体 長:4.0~8.9 mm

生  態:七ツ尾口坑道では1年中見られる。令和3年8月と同4年4月に卵を抱えた個体を観察しており、1個体が抱える卵はそれぞれ2個、3個だった

メクラヨコエビ属は地下水性で、従来41種類が見つかっている。分布の中心は東アジアで、日本、朝鮮半島、中国、極東ロシアに分布している。日本では10種が見つかっていた。アスワメクラヨコエビは世界では42種目、日本で11種目のメクラヨコエビ属の種となる。

触角の長さ、触角のつけ根部分や尾の形態、口器の毛の数やそれを構成する部位の節の長さの関係が近縁種と違う。 平成29年11月以降、同館では坑道内で同種の生態観察を行い、令和3年8月と4年4月に同種の抱卵個体を観察し、映像資料を残している。これは、同種の繁殖生態を解明する上で非常に貴重な記録といえる。

【今後の展開】

七ツ尾口坑道以外でも、足羽山でメクラヨコエビは見つかっており、これらのサンプルは広島大の富川教授が解析を担当する。また、種の坑道内での観察を続け、食性や繁殖期に関する知見を蓄積。抱卵個体を採集した際に卵の人工孵化を試みたが成功しておらず、室内の飼育観察も併用して同種の生態に関する知見を蓄積することとしている。

さらに、アスワメクラヨコエビは福井県内の他の場所にも生息していると思われることから、足羽山周辺を中心に、福井県内でメクラヨコエビを探し、見つかり次第、富川教授にアスワメクラヨコエビとの関係について解析を要請する方針だ。