カマキリと黒い色のハリガネムシ
京都大学と国立台湾大学、神戸大学、東京都立大学の国際研究グループは8日、ハリガネムシに操作されたカマキリが光を反射するアスファルトに引き寄せられてその場で死んでしまう可能性を示した。人間活動による環境変化が共生生物にも影響をもたらす世界初の成果だという。
ハリガネムシは寄生相手のカマキリなどを入水自殺させることで知られている。グループは道路上でハリガネムシと共に死んでいるカマキリが、アスファルトの水平偏光により道を水辺と勘違いしているという仮説を立てた。
検証のため、水辺とアスファルト道路の反射光の偏光度を測定すると同様の高さがあった。さらに、寄生されたカマキリはその度合いが高い地点に誘引されることも判明。実際に観察してみたところ、偏光度の高いアスファルトを歩く特徴があり、日本の道路で採集したカマキリの感染率は8割を超えていた。
グループは「今回の発⾒は人による環境改変の陰で、多くの共⽣⽣物がその魅⼒的な進化の産物から不利益を被っていることに警鐘を鳴らす最初の例かもしれない」と説明。「ハリガネムシ類による宿主操作を深く理解するとともに、⼈間活動下でそれらが損なわれるリスクがあるのかを、より深く解明していきたい」とコメントした。