カエルアンコウ
名古屋大学の山本直之(やまもと・なおゆき)教授らのグループは、魚をおびき寄せて捕らえる魚「カエルアンコウ」が釣り竿とルアーのように変化した背びれを動かすニューロンを発見した。進化の過程で神経細胞が移動した世界的に珍しい事例と伝えている。
カエルアンコウは頭に釣り竿のような棒があり、先端にゴカイのような部位が付いている。体長16㎝程度で、日本海や海外に生息する。疑似餌に模した背びれを動かして魚を捕食する珍しい魚であり、カエルアンコウは背びれが4つある。釣り竿型と他のひれで、異なる運動ニューロンを持つとされているが、詳しく分かっていなかった。
グループは運動ニューロンを神経トレーサーで可視化。釣り竿に似た第1背びれを動かすニューロンを「釣り運動ニューロン」と名付けた。このニューロンは腹側にある他のひれのものと異なり、背側に位置していると判明している。
カエルアンコウの運動ニューロンが、進化に伴って受け取りたい情報が来る場所の近くに移動したと推測されている。
山本教授らは「背びれ運動ニューロンとしては異例の場所に移動したことを明らかにした。これまでにない新奇な発見であり、世界的にも注目される研究成果だ」とコメント。「魚ファンの知的好奇心を満たす成果でもある」と紹介している。
◇神経トレーサー
本来神経系には存在しない物質(トレーサー)を投与することで、投与場所がどこと連絡しているのかを特異的に明らかにすることが可能。