東京大学
東京大学と海洋研究開発機構(JAMSTEC)、産業技術総合研究所、独マインツ大学の研究グループは2日、二枚貝の「ビノスガイ」の化石を使って約10万~30万年前の東京都や埼玉県、千葉県などに広がっていた古東京湾のおおよその海水温を明らかにしている。
約10~30万年前は地球が温暖であり、海水温も高かったとされる。だが、古東京湾の海底に堆積した砂や泥などからなる地層「下総層群」からは、北海道など寒い地域に生息する貝の化石が見つかっていた。
グループはビノスガイの化石を調べることで古東京湾の温度の復元を試みた。その結果、約10~30万年のいずれの時代でも水温は20度以下であったと判明。現在の東北や北海道沿岸の水温に近かったと分かっている。
グループは「今後さまざまな化石試料について分析を進めることで、当時の海洋環境についての詳しい歴史が明らかになり、地球温暖化が進行した場合の将来予測に貢献できると期待される」としている。