金沢大学の奥田丈士(おくだ・たけし)助教らと米ピッツバーグ大学の共同研究グループは31日、人の死後脳を用いた研究で統合失調症と双極性障害(双極症)、うつ病患者の神経細胞の変化を解明することに成功した。英科学誌「サイコロジカル・メディシン」に同日付で掲載されている。
統合失調症と双極症、うつ病は成人が、り患する代表的な精神疾患だ。これらは問題解決や学習などの認知機能に障害を起こし、患者の社会復帰を妨げる。だが、有効な治療法は確立されていない。
研究では性別や年齢などの条件が等しい健常者と統合失調症患者、双極症患者、うつ病患者160人の死後脳から、神経伝達物質「GABA細胞」を3つの病状を比較計測した。
その結果、統合失調症の患者では複数種ある GABA 細胞に広汎な変化が生じていること、双極症とうつ病の患者では一部の GABA 細胞に変化が偏っていると明らかになった。
研究グループは「3つの疾患のそれぞれで認知機能障害が生じるメカニズムの解明および有効な治療法の開発に活用されることが期待される」としている。