□研究成果のポイント□
◆顔の印象は、画像を上下逆さに提示すると判断しにくくなると言われてきた
◆しかし、赤ちゃんの顔の「かわいさ」は、逆さにしても同じように評価できることが明らかとなった
◆「かわいさ」は、丸みを帯びた顔や大きな目といった個々のパーツの特徴によって知覚される
◆80年前に提案されたベビースキーマ説を支持するデータが得られた
大阪大学大学院人間科学研究科の藏口佳奈助教(現在、四天王寺大学人文社会学部社会学科・講師)と入戸野(にっとの)宏教授の研究グループは、赤ちゃん顔の〝かわいさ〟は、顔画像を逆さに提示したときでも同じように判断できることを明らかにした。
これまでは、主におとなの顔を使った研究から、画像を上下逆さに提示すると、顔の認識や人物の同定が難しくなることが知られてきた。「顔倒立効果」と言われているこの現象は、顔を知覚するときには、個々のパーツではなく、パーツ間の位置関係が重要である証拠とされている。
今回の研究では、赤ちゃん顔を正立または倒立させた状態で〝かわいさ〟を判断する課題を行いました。コンピュータで合成した赤ちゃん顔の〝かわいさ〟を評定してもらったところ、顔の向きによる評定値の差は認められなかった。
また、顔を倒立させても、偶然以上の確率で二つの顔からよりかわいい顔を選ぶことができました。これらの結果は、赤ちゃん顔の〝かわいさ〟は、顔のつくり(パーツ間の微妙な位置関係)よりも、輪郭の丸みや目の大きさなど,赤ちゃん顔によく認められる個々のパーツの物理的特徴に基づいて知覚されることを示した。
この研究成果は、学術誌「Perception」のオンライン早期公開版に、9月4日(月)に公開された。