実験イメージ
東京大学の喜田聡(きだ・さとし)教授らの研究グループは29日、マウスが好き嫌いに応じて食事を調節していると発見した。人間さながらの食行動を「食物留保課題」と名付け、今後計画的に食事をする際の脳内メカニズムを解明していくとしている。人間の摂食障害の理解につながることが期待されるという。
グループは人の示す食行動の制御現象をマウスで再現し、メカニズムの解明に挑戦している。今回、マウスに日に一回の食事時間を設けて通常のエサを与えた後、チーズまたはスイートチョコレート、ビターチョコレートを30分摂らせることを3日間繰り返した。
その結果、チーズとスイートチョコレートをあげる場合には、通常エサを食べた量が減り、一方でビターチョコレートを食べさせる際には通常エサの摂取量が増えていた。つまり、マウスがその後の食事を意識して食事量を増減させると分かっている。
喜田教授は「人間さながらの計画的食行動のメカニズムを解明することによって、認知制御の一端が明らかとなり、我々が日々行っている何を食べるかを意思決定する機構の解明に近づく」とコメントしている。