新潟大学と独マックスプランク生化学研究所は、重篤な薬疹である「中毒性表皮壊死症」(TEN)の予後を改善させる新規治療法を開発した。人工知能(AI)を用いた方法で生み出しており、今後の実用化が期待される。
TENは薬剤が原因で発症し、全身の皮膚や粘膜が壊死してしまう致死的疾患。高熱や倦怠(けんたい)感、紅斑などの症状が現れる。約30%の患者は致死的な経過をたどるが、病気の過程が解明されておらず有効な治療法が必要とされている。
研究に7人の患者が協力し、グループはAIで炎症の原因となっている経路を分析。アトピーや関節リウマチで利用されるJAK阻害剤で治療を行った。その結果、全員が速やかに治癒して大きな副作用がなかったと確認されている。
グループは「今後はより大規模な臨床試験を行い、TENに対するJAK阻害剤の有効性と安全性を検証し、実用化を目指す」としている。