文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL

文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL
絶滅危惧種のスナメリは社会性と単独性を持つ 人工騒音が増えない対策が必要 三重大

社会性行動をとるスナメリ

三重大学(現:東京大学)の寺田知功らのグループは17日、伊勢湾に生息するクジラ類の絶滅危惧種「スナメリ」の社会性を調査した。単独生活者と考えられてきたが、2~3頭による群れで動く一面もあると判明した。

研究チームは津と伊勢、鳥羽市の沿岸で調査を実施。ドローンで行動観察と個体間距離の測定、船からスナメリの鳴き声を録音して、可聴範囲の推定を行っている。その結果、個体間は平均6mで、可聴範囲は70mであると分かっている。

さらに、近い距離にいる2~3頭では頻繁に社会行動が記録されている一方で、半数以上の個体は単独で発見された。つまり、スナメリは単独性と群居性の両特性を持つ可能性があるという。

研究グループは「スナメリにとって水中の音環境が従来の想定以上に重要である」と評価。「人工騒音が増えないようにするなどの対策が、本種の保全には重要であることを示唆している」としている。