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振動を顔にあててメンタルヘルスに貢献する研究開始 うつやADHDを改善 名大

鈴木泰博准教授

名古屋大学の鈴木泰博(すずき・やすひろ)准教授らの研究チームは17日、自然音や音楽に含まれる低周波の成分を振動に変換する技術を活用した臨床研究を11月から開始すると発表した。うつや不安、多動性障害(ADHD)などの精神症状を対象に、薬を用いないケア方法を検証していく。

鈴木准教授は先行研究により、軽度認知症患者らに低周波音響をあてることで記憶力や注意力の改善が起きることを確認している。さらに、マウスに低周波音を曝露(ばくろ)させる実験を行ったところ、認知機能の向上も認められた。

そこで、チームは専用デバイスで低周波を振動にして顔に衝撃を与えることで得られる結果を分析する。鈴木准教授によると、うつや不安症、ADHDの改善が期待されるという。研究では30人の男女に1日2回10~20分の間、専用デバイスを使って振動を顔にあてる活動を3カ月間続けてもらう。

鈴木准教授は「いろいろな症状で悩んでいる方が、ご自身で症状を緩和させられることになるとよい」と説明。「このデバイスはあまり電気を使わないため、紛争地域など医療支援が難しいところで使えるようなものになるとよい」とコメントしている。