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タバコカスミカメ、共生細菌がふ化率を制御 害虫の天敵を効率的に増加 農研機構など

タバコカスミカメ

農研機構と宮崎大学は9日、昆虫のタバコカスミカメと共生する細菌「リケッチア」が感染すると子孫が多くなることを明らかにした。リケッチアはほかの虫にも感染しているが、同影響が確認されるのは初めて。タバコカスミカメは農業害虫をエサとするため、害虫防除技術の向上につながることが期待されている。

タバコカスミカメはコナジラミやアザミウマなどの害虫を食べる虫。体長は3ミリ程度で畑に放つことで大きな害虫駆除効果が得られる。昆虫の多くは共生細菌に感染し、性比異常などを起こしているが、タバコカスミカメがどのような影響を受けているかは判明していなかった。

研究ではリケッチアに感染・非感染の雌雄を使って4パターンの交配を行った。その結果、感染オスと非感染メスの場合のみ卵が正常にふ化しないと分かった。

共生細菌に感染したオスと非感染のメスの組み合わせで卵かかえらない「細胞質不和合」が確認されたという。この発見はタバコカスミカメの効率的な増殖につながりそうだ。グループは「化学農薬のみに依存しない害虫被害ゼロ農業の実現に貢献する」としている。