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猫の胸部X線画像から骨を除去するAI技術の開発に成功 AI・ディープラーニング技術開発のリッジアイと北大動物医療センターが共同開発 〜獣医師によるX線画像の読影診断精度が向上〜

AI・ディープラーニング技術のコンサルティングと開発を行う㈱Ridge-ⅰ(本社: 東京都千代田区、リッジアイ)は9月5日、北海道大学動物医療センターと共同で、猫の胸部エックス線画像から骨を高精度に除去するAI技術の開発に成功した。この技術を活用することで、骨以外の組織や病変に焦点を当てやすくなり、獣医師の読影診断精度の向上が期待される。今後は、他の動物への適用も視野に入れた開発を継続する。

■背景と概要:動物のエックス線画像の骨の除去について

獣医師は人間の医者とは異なり、さまざまな専門領域にまたがって、多岐にわたる医療行為を一人で行う必要がある。人間の医療界における医療行為が専門ごとに分化されているのとは対照的に、獣医師には包括的なスキルと知識が求められる。エックス線画像の読影という専門的なスキルについていえば、全ての獣医師が豊富な経験を持つわけではない。そのため、動物のエックス線画像から骨を除去するという技術は、獣医師の診断を助ける有用な手段となる。

人間のエックス線画像における骨除去で、ニューラルネットワーク等の機械学習の手法を使用する場合、通常、同一人物で同一の姿勢の〝骨ありエックス線画像〟と〝骨なしエックス線画像〟のペアのデータセットをもとに行われる。

しかし、犬や猫などの動物の骨除去の場合、同一の姿勢を取り続けることが困難であるため、〝骨なしのエックス線画像〟が得られないケースが存在する。この課題を解決するため、骨除去の正解となる〝骨なしのエックス線画像〟が得られない状況で骨除去を行う技術を開発する必要があった。

■開発成果

リッジアイと北大動物医療センターによる共同研究チームは、エックス線画像以外の医療画像を適切にエックス線画像と融合することで、〝骨なしのエックス線画像〟が欠如している状況でも、骨除去を行う機械学習モデルの開発に成功した。

この技術により、獣医師がエックス線画像の読影を行う際に、骨以外の組織や病変に焦点を当てやすくなります。これは、獣医師の診断精度を向上させることにつながります。さらに、より早期の病気発見や治療に貢献することができる。特に胸部エックス線からの骨除去は、心臓疾患や呼吸器系の疾患など、様々な病状の診断に重要な役割を果たすことが期待される。

■今後の展開

リッジアイと北大動物医療センターは、今後もこの技術のさらなる研究と開発を進めていく予定。これまで、猫の正面図のエックス線画像の骨除去技術の開発に成功している。今後、猫の側面図への適用、さらには他の動物への適用も視野に入れ開発を継続し、この技術をより広範な状況で活用できるようにする予定。