レム睡眠行動障害のイメージ
筑波大学と東京大学、大阪大学、日本医療研究開発機構は、夢を見せる「レム睡眠」を誘導する神経回路を発見した。この回路が夢の中の行動を現実で起こす「レム睡眠行動障害」につながっていると発見した。
レム睡眠行動障害は寝ぼけではなく、睡眠中にはっきりとしゃべったり、腕や足を振り回したりする病気だ。10年以内にパーキンソン病を発症する確率が高まるとされている。しかし、その原因は不明であった。
研究グループはマウスを用いて脳の「橋」(きょう)と「延髄」にレム睡眠をみちびく神経細胞を発見した。橋の神経細胞は運動神経につながり、睡眠中の運動と関与していると分かった。
人間の死後脳を調べると、マウスと同様にレム睡眠誘導神経細胞があると認められた。レム睡眠行動障害とパーキンソン病を併発した患者のものを確認すると、橋の同細胞が激減していたという。グループは行動障害の原因が同細胞の減少であるとしている。
グループの林悠(はやし・ゆう)東京大学教授は「研究成果により、パーキンソン病の発症メカニズムの解明やレム睡眠の質と量の低下に注⽬した治療法への応⽤のほか、夢を⾒る仕組みや意義の理解が進むと期待される」とコメントしている。