広島大学の内海秀特命助教らは、2018年の西日本豪雨で被災した小児が気管支ぜんそくによって吸収治療を受ける割合が増加していることを明らかにした。自然災害とぜんそくの関連が指摘されていたが、この研究により初めて被災とぜんそくの関係が実証されている。
研究では被害が大きかった広島県と岡山県、愛媛県の診療報酬明細書のデータを分析。0~19歳までの住民のぜんそく吸入薬の処方数の変化を災害前後1年間で評価している。
約107万人の参加者のうち、4425人が自治体から被災者認定されていた。被災者では287人(19.7%)、非被災者では5万9469人(12.6%)がぜんそくとなった。分析によると、被災者は非被災者よりも吸入薬を処方されたことが分かったという。また、発災直後だけでなく、1年後にも被災の影響が継続することが分かっている。
研究グループは「自然災害が増加の一途をたどっている現状をふまえると、小児への疾病負荷を正確に把握し、対応することには大きな意義がある」とし「医療者や国、地方自治体は災害関連のエビデンスを認識し、被災時の環境整備やぜんそく治療薬の供給体制などを検討する必要がある」と指摘している。