文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL

文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL
人類の地球システムへの影響、1952年から 気候変動や外来種の侵入など 愛知大など7機関

愛知大学と東京大学、オーストラリア国立大学など7機関からなる国際研究グループは24日、1952年以降の地層記録からマイクロプラスチックやプルトニウムなど技術革新を反映する痕跡が見られ始めたと発表した。

人による地球システムの変化が最初に現れるのはいつか―。研究者間の課題であった。8000年前の農耕社会や18世紀以降の産業革命により気候システムを変化させてきたことは知られている。だが、それらによる変動は地球で同時に起きてはいなかった。

研究では地球システムの転換点となる地点を認識する指標として、地層中の人の影響を示す痕跡の急激な増加を提案。「地球上で存在しなかった物質や生物種の最初の出現」や「産業革命より前の自然変動の範囲を初めて超えた時点」、「生物群集が大きく変わる点」などが強力なマーカーとなる可能性を指摘した。

研究グループは世界137カ所から748個の地層にある人為痕跡を発見。52年の前後3年から前例のない人為痕跡の急増が始まっていた。特に53~58年で認められたという。この時期を境に気候変動や世界規模の外来種の侵入や定着が始まったと説明している。

グループは「地層の人為痕跡に基づく明確な開始年代は、将来的に人新世の始まりの定義を議論する上で重要な情報となることが期待される」と評価している。