九州大学と磯辺篤彦(いそべ・あつひこ)教授らのグループは、タイのシーチャン島周辺で採取したサンゴからマイクロプラスチック片(フラグメント)を発見したと発表した。骨格にまでフラグメントが入り込んでいる事実を確認したのは世界初。調査対象のサンゴは世界的に分布し、マイクロプラスチック蓄積量に新たな見積もりの必要性を与えそうだ。
研究では数十~数百マイクロメートル程度のフラグメントが発見された。最も多く見つかった種類はナイロン20.11%。続いてポリアセチレン14.37%、PET9.77%だった。計174粒のフラグメントが確認され、部位別ではサンゴの表面粘液から約4割。骨格全体から4割、組織から3割検出された。
グループは研究の意義について、プラスチックごみが破砕を繰り返した後にサンゴに蓄積することを示したことにあると説明。一度骨格に入った異物は体外にでないため、サンゴが死んでも、マイクロプラスチックがサンゴ内に保存されることが示唆されるという。
今後について「亜熱帯域や熱帯域に広がるサンゴ礁による、海洋プラスチックの蓄積量推定へと発展させたい」と力を込めている。