ナカトンベツコウヨウザンの球果化石の断面(左)と立体復元図(右)
北海道大学の山田敏弘教授らの研究グループは今月、スギ科の新種「ナカトンベツコウヨウザン」の松ぼっくりの化石を中頓別(なかとんべつ)町の白亜紀の地層から発見した。鱗片(りんぺん)の先端が肥大化しており、隕石の衝突を生き残るために役立ったと考えられている。
コウヨウザンは台湾からインドシナ半島に現生する針葉樹。祖先は7100万年前までに出現し、隕石衝突による大量絶滅を生き延びたとされている。だが、どのような特長がそこに貢献したのかは分かっていなかった。
グループは同町の地質調査をしている中で、松ぼっくりの化石を発見。らせん状の鱗片や鱗片あたりに三つの種子を持つことなどからコウヨウザン属であると推定した。鱗片が厚くなっており、それにより隕石落下後の山火事を生き残ったと考察している。
山田教授らは「今回の成果は、鱗片の厚さが生存の鍵となった可能性を示唆した」と説明。「今後、白亜紀末の球果化石をさらに調査したり、それらと新生代の種との系統関係を調べたりすることで、仮説を検証できる」とコメントしている。