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ミズヒキゴカイの新種10種を発見 環境評価の生物に適さない可能性 名大

ミズヒキゴカイ

名古屋大学の自見直人講師らのグループは5日、海の汚濁の指標として使われる「ミズヒキゴカイ」は環境の汚さを判断する指標には適さないと発表した。自見講師は、日本全国を駆け回り10種のミズヒキゴカイを新たに発見。同日付の科学誌「Species Diversity」の電子版に掲載されている。

ミズヒキゴカイは日本の沿岸に生息し、環境評価に使われている。ミズヒキゴカイが生息した場合、その地点は汚い海域であると判断されてきた。だが、分類学的な課題があり、複数種を含んでいる可能性が指摘されていた。仮にその通りであれば、環境指標としての利用に適していないと推測できる。

自見講師は1カ月で日本の沿岸を車で泊まりながら1周。ミズヒキゴカイの採集を続けた結果、10種の新種を発見。それぞれが、どのような地域に生息するかを調べたところ、全てが汚い場所に住んでいるわけではないと判明した。

自見講師は「環境指標種とされている生物について正確な分類学的な研究と環境データの比較による再検討が必要であるという良い事例になった」とコメント。「運用には分類学・生態学的なデータに基づいた検証が必要」としている。