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北大 睡眠薬の母体・乳児への影響を評価 新たな定量法を構築

薬剤の⺟乳移⾏のイメージ

北海道⼤学の⼩林正紀教授らの研究グループは、睡眠薬である「メラトニン受容体作動薬」(MRA)と「オレキシン受容体拮抗薬」(DORA)の⺟乳中及び⾎しょう中の新規定量法を構築した。また、その定量法を⽤いて、DORAを服⽤する授乳婦の⺟乳と⾎しょう内の濃度を明らかにしている。

近年、不眠症治療薬としてMRAとDORAの処⽅率が増加している。⼀⽅で、これら睡眠薬の授乳期におけるデータは乏しく、⺟乳への移⾏性や乳児に対する安全性に関する情報は⼗分ではない。

研究では人の母乳や血しょうで、薬物濃度を分析できる機器を使用した定量法を構築。グループは日本で使用されている2種類のDORA「スボレキサント」と「レンボレキサンと」の母乳中と母体血しょう中の濃度を測定して、母乳への移行性や安全性を確認している。

その結果、両薬剤ともに母乳へ濃縮しないことが示され、乳児への曝露(ばくろ)量は高くないと推測されている。スボレキサントは実験動物では母乳への移行が高い報告があることから、人で薬剤の移行性を評価する重要性が示されている。