研究のイメージ図
量子科学技術研究開発機構(QST)の南本敬史(みなみもとたかふみ)次長、京都大学の髙田昌彦(たかだまさひこ)教授らは28日、状況の変化に遭遇した際に、より良い選択を導く2つの思考回路を発見したと明らかにした。思考回路を突き止めた世界でも類を見ない研究だと評価している。
思考法には体当たりで最適と思う行動を選ぶ「実践型」と理論を当てはめて効率よく最適な行動を選ぶ「理論型」の2つがある。いずれも価値判断で重要とされる「前頭眼か野」の指令が大切と考えられているが、前頭眼か野の指示がどの領域へ伝えられて思考が実現されるかは不明であった。
研究では人に近いサルをモデルに実施。前頭眼か野からつながる「尾状核」と「視床背内側核」を特定して神経情報を止める実験を行った。その結果、前頭眼か野から尾状核への脳回路が「実践型」の思考に、視床背内側核への回路が「理論型」に関与すると発見した。
グループは「状況の変化への対処に障害を伴う精神・神経疾患の病態理解や治療法の開発につながる可能性がある」と説明している。
同日付の科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」にオンラインで掲載されている。