名古屋大学の岩見真吾教授らのグループは26日、愛媛大学の三浦郁修らと共同で感染症のエムポックス(サル痘)の西アフリカ型による感染者の隔離を終了するタイミングを検証するシミュレーターを開発したと発表した。同日付の科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載されている。
エムポックスは感染すると発熱や頭痛、体力低下などの症状がでる感染症だ。世界保健機関(WHO)は今月、重症率の高いコンゴ盆地型の増加から緊急事態を宣言している。感染症対策として隔離がとられるが、その期間が不明確という課題がある。
グループが数理モデルを使った実験を行ったところ、ウイルス排出期間は23~50日と示された。3週間の隔離で9割の伝播(でんぱ)防止が可能と分かっている。さらに、定められたPCR検査回数の陰性結果で対策を終了する方法をとれば、個人レベルで柔軟に隔離戦略がとれると認められている。
グループは「隔離終了タイミングのシミュレーター開発は隔離ガイドラインの確立に貢献するだけではなく、疾患の超早期(未病)におけるウイルス排出のばらつきを個人レベルで考慮する数理的手法を提案している」と評価した。