金沢大学の角野歩助教らのグループは24日、脳の記憶や学習に重要な役割を果たす「AMPA型グルタミン酸受容体」(AMPA受容体)の再妨害ドメインのナノスケールでの働きを世界で初めて動画撮影することに成功したとしている。AMPA受容体はてんかん発作につながる重要な分子であり、新薬の作製などで貢献できそうだ。
AMPA受容体は脳で興奮性神経伝達を担うタンパク質。これまで信号を受け取るとシナプス後部にAMPA受容体が集合して、伝達効率を高めると考えられてきた。だが、AMPA受容体がシナプスに留まって集合する分子メカニズムは理解されていなかった。
研究では高速原子力顕微鏡(高速AFM)を用いて、AMPA受容体の細胞外ドメインが大きく揺れ動く様子を可視化することに成功した。さらに、これまで強固と考えられていた二量体(ダイマー)構造が、実際には一つずつに分離し、分裂と結合を繰り返す様子を観察したという。
グループは「興奮性神経伝達の分子メカニズムに新たな知見を与え、関連する疾患に対する画期的な治療薬の創出に寄与する」としている。