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反復着床不全の治療法開発に貢献 子宮内膜に歯周病菌の存在を高頻度で確認 山梨大

EM合併有無におけるディアリスター菌の比較

山梨大学の小野洋輔臨床助教らのグループは、難治性の不妊症である着床不全を繰り返す患者は子宮内に歯周病菌の「ディアリスター属菌」を持つ割合が高いと今月初旬に発表した。着床不全の新たな治療法の確立につながる可能性があるとしている。

体外受精・胚移植などの生殖補助医療を受ける患者の中で、良好な受精卵を繰り返し移植しても妊娠が成立しない難治性不妊は「反復着床不全」(RIF)と呼ばれる。反復着床不全に対する治療法の開発は急務だが、有効な治療法は見つかっていない。

研究では2回以上の着床不全の既往がある43人の患者を対象に解析を行った。RIF患者のうち、生殖年齢女性の1割強に認められる子宮内膜症(EM)の患者とそうでない人に分けて実施した。

その結果、EM群はディアリスター菌とレンサ球菌の保有率が高いことが判明。特にEMを合併しているRIF患者はディアリスター菌が存在する割合がおよそ11倍になると認められた。

ディアリスター菌は、人の口腔内や腸内に存在する菌。歯周病の原因菌であり早産との関連も指摘されている。レンサ球菌は早産や産褥子宮内膜炎、新生児感染症の原因となることが知られる。

グループは「今後、対象患者をさらに増やし、治療後の妊娠率や生児獲得率を調べることが治療法を確立する上で重要だ」と説明している。