ヤマトミミズ
帝京大学の山口真二教授と藤田俊之(ふじたとしゆき)助教らのグループは、高い再生能力を有する環形動物「ヤマトヒメミミズ」を用いて、たんぱく質群を作るsoxC遺伝子が体の再生を促進することを発見した。この遺伝子は人にも存在するため、再生医療などで貢献できそうだ。22日付の英学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」で掲載されている。
環形動物は切断時、その部分に再生に関わる幹細胞の集まる再生芽を形成する。だが、それが作られる過程は不明のままであった。
研究グループは無傷と再生芽のあるヤマトヒメミミズを比較し、soxC遺伝子が関係していることを発見。再生時の機能解析を行った。この遺伝子の発現を抑えると、再生芽の誕生が阻害されると分かった。
また、再生芽のほぼ全体をsoxC細胞が占めていると確認された。つまり、soxC細胞が切断端に集積することが再生芽形成であると認められた。
ヤマトミミズと同様に再生するツメガエル幼生の再生イメージ、帝京大提供
山口教授らは「再生は動物種を問わない共通の仕組みによっておこる可能性がある」と説明。人で傷跡を残さない治癒や器官再生を行うための新規創薬、再生医療につながると指摘している。