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気温上昇や塩害に強い植物の育成に貢献 小胞体ストレスの応答因子を発見 理研

理化学研究所の中村友輝チームリーダーらの研究チームは22日、植物細胞の根が「小胞体ストレス」(ERストレス)に応答する際に必要な因子を明らかにした。ストレスを起こす気温上昇や塩害に強い農作物を作成する技術などにつながりそうだ。同日付の英科学誌「Journal of Experimental Botany」で掲載されている。

ERストレスは脂質やタンパク質の合成などを担う小胞体に正常な機能を果たせなくする。だが、植物体内のどの機関がストレスを感知しているのかは、分かっていなかった。

グループは植物「シロイヌナズナ」を用い、先行研究でERストレス応答に関与するとされた「ホスホコリン」(PCho)を合成する代謝経路に関わる酵素の変異体を網羅的に調べた。

その結果、酵素である「非特異性ホスホリパーゼ C3」(NPC3)を欠損した植物は、小胞体ストレスへの感受性が低下することを発見した。NPC3は細胞の膜を構成するリン脂質を分解して PCho を合成する酵素で、根に多く分布することを突き止めている。

グループは「植物が小胞体ストレスを感知する仕組みに関わる分子の実態を明らかにし、環境変動に頑健な作物を作出するために貢献できる」とコメントしている。