北里大学と産業技術総合研究所のグループは今月6日、サンゴの体表にある「サンゴ稚ポリプ」を骨格形成に作用する石灰化中心という部分で、直接観察することに成功したとしている。
サンゴの骨格形成の仕組みはよく分かっていない。今回の研究ではサンゴの一種「コユビミドリイシ」の稚ポリプを生きたまま顕微鏡で数日間撮影。サンゴの隔壁の形成メカニズムを明らかにしようと試みた。
その結果、直径数マイクロメートルの微粒子の出現を起点とした石灰化中心の形成過程を映すことに成功。解析により、形成される際に造骨細胞の周囲や隙間で、小さな微粒子が形成されて繊維状の炭酸カルシウム結晶が成長することが判明している。
両者は「生体のサンゴを顕微鏡により観察する実験手法の開発は、サンゴを生理学的に理解する上で必要不可欠」とし「イメージング技術の発展により、サンゴの骨格形成メカニズムが明らかになることが期待される」とコメントしている。
■石灰化中心
サンゴによる生物作用が強く、サンゴが立体的な構造を作る先端部に出現する。直径が数マイクロメートル程度のものが多い。中心部は繊維状の炭酸カルシウム結晶とは異なり、粒子状の構造物で構成されていることが先行研究で明らかにされている。