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民博がペルーの遺跡で墓を発見 紀元前1000年頃の宗教的指導者のものか?

国立民族学博物館ではペルー北部パコパンパ遺跡の発掘調査で、新発見を行ったと発表した。8月25日にペルー北高地パコパンパ考古遺跡複合内のカピーヤ遺跡で、直径約3㍍、深さ約1㍍の土壙墓を発見した。被葬者は1名、紀元前1000年頃の宗教的指導者と考えられる。右半身を上側に、上半身は進展状態、下半身は屈曲状態で発見された。被葬者の頭部付近には、土器が2点認められた。土壙墓は埋土中には、刻線で飾られた完形土器をはじめ、アンデスでは珍しい印章が3点も副葬品として捧げられていたことから、有力な宗教的指導者であったと考えられる。被葬者の性別や年齢は、今後、分析する予定。

この墓は、同遺跡で同調査団が発見した「パコパンパの貴婦人」墓(2009年)、「ヘビ・ジャガー神官の墓」(2015年)よりも200年~300年も前の墓で、宗教的指導者が、かなり早くから誕生していたことを示している。

また昨年発見し、世界的に報道された「巻貝の神官墓」よりは200年ほど新しいと考えられるが、その時期の墓は、これまでほとんど発見されておらず、しかもリーダーと思われる人物の埋葬は大変珍しく、貴重であるだという。

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民博では、国立サン・マルコス大学(ペルー)と、考古学分野での共同研究員調査の遂行、さらにそれに基づく学術交流の促進を目的として、学術交流協定を締結している。今回の発見は、民博・サン・マルコス大合同調査団により行われた。