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デボン紀の地層から層孔虫を発見 礁の形成を世界初確認、定説を覆す 大阪公立大

層孔虫の内部構造、大阪公立大より

大阪公立大の江﨑洋一教授らのグループは、山口県にある秋吉石灰岩(美祢市)で石炭紀に形成された地層から海綿動物「層孔虫」(そうこうちゅう)の化石を発見した。層孔虫が大規模な礁を形成していたことを世界で初めて発見している。

研究の重要な成果は特定の種類の層孔虫が、海の酵素濃度の減少などが原因で約8割の生物が死滅したとされる前のデボン紀に起きた絶滅事変を生き延びていたことだ。これまでこの時期の層孔虫の存在はほとんど知られていなかった。

石炭紀の層孔虫礁の形成が秋吉に固有なのか。世界各地の石炭系から層孔虫礁が発見されるのかどうかという検討が今後進むという。江﨑教授は「地球規模で見れば小さな秋吉石灰岩体から、石炭紀の世界的な古地理や海洋古環境の解釈を大きく塗り替える仮説が発信されることが期待される」と評価している。

■層孔虫

炭酸カルシウムからなる「積み重なる層状の構造」と「内部の小さな孔」で構成される海綿動物(高石灰化海綿類)の一種。古生代では、シルル紀とデボン紀に礁の形成に大きく関与した。