実験の概要図、東京大学のホームページより
東京大学の植田一博教授らはと立命館大学の高橋康介教授らのグループは今月、人でないものが感情を持つように感じる「感情の読み込み現象」を調査した。中程度に形が人らしい物体に社会的動きが加わると、強い読み込みが加わることなどを発見している。ロボットデザインの作成などに貢献できる可能性もあるという。
研究では人のような見た目をした絵とシメジ、マッチ棒を使った。人型のそれらが背後から抱き着くような動きをする静止画と動画を見せて、視聴者に「形状的に人らしいか」と「感情を持っているか」を尋ねた。
人型とシメジとマッチ棒の動画・静止画のイメージ、東京大学ホームページより
その結果、人型の絵、シメジ、マッチ棒の順に形状が人に似ていると評価された。一方で、感情については、絵がシメジよりも高かったのに対し、動画ではシメジよりも絵のほうが心の動きがあるという回答を得た。
さらに、追試で画像の立体感と顔パーツの有無が感情の読み込みに与える影響を検討した。すると、立体感は関係なく、顔はないほうが強い反応となると示されている。
植田教授らは「研究で得られた知見は、シンプルで装飾の少ないキャラクターのデザイン、すなわちミニマルデザインの意味を考える基盤を与えてくれる可能性がある」とし「感情豊かなエージェントをデザインする際の実験的な裏付けとして利用可能だ」と紹介している。