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東京都のスベリヒユ、花開くものは1割以下に進化 他の植物でも検証する必要あり 国環研と千葉大

開放化型のスベリヒユ

国立環境研究所と千葉大学は今月、全国に生える野草「スベリヒユ」のうち東京の都市部に生息する同種は花を咲かせない進化を遂げている可能性を指摘した。都市環境下の適応進化について葉以外に注目した研究は少なく、重要な知見となりそうだ。

スベリヒユには花をつける「開放花」とつぼみの状態で受粉する「閉鎖花」の2タイプがある。それらは遺伝によって決定されている。研究では東京都市部と農村に生息する20集団から種子を採取。自然光温室内で栽培実験を行った。

その結果、都市部に生息する多くの個体は閉鎖花であり、開放花はわずか6%だった。さらに、花を咲かせないスベリヒユは開放花と比べて早熟であると分かった。これは、ストレスや踏みつけなどが激しい中では有利な特長だという。

グループは「他の植物種でも都市化による繁殖形質の適応進化が起きているかを検証する必要がある」とし「これらを明らかにしていくことは、都市化に伴う環境変動下における生物多様性の保全や管理に重要な情報を提供することにつながる」としている。