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世界の海洋プラスチックごみ重量の分布モデルを開発 将来予測も可能 九大

九州大学の樋口千紗学術研究員と磯辺篤彦教授は9日、世界の河川から流出したプラスチックごみの重量を求める確率分布モデルを作成した。プラスチックごみの将来予測が可能となっている。オランダの学術誌「海洋汚染速報」に同日付で掲載されている。

研究グループは、極海を除く全世界の表層海洋を対象として、世界の河川から流出したプラスチックごみの行方を追跡するコンピュータ・シミュレーションを行った。ここでは、海洋に浮遊するものと海岸に漂着したプラスチックごみを対象としている。

シミュレーションでは、世界の河川流出量の約90%をカバーしている。また、プラスチックごみの海岸漂着と再漂流、マイクロプラスチックへの破砕、そして生物付着を想定した重量増加による表層からの消失過程を組み入れた。

この現実的なシミュレーションの結果を解析することで、各河川から流出して世界の海域や海岸へ到達する、プラスチックごみの重さを求める確率分布モデルを作成。これを利用することで、異なる流出シナリオに対応する、海洋や海岸のプラスチックごみ重量の将来予測が可能となっている。

グループは「使い捨てプラスチックごみの使用制限や廃棄量の削減、リサイクル率の向上、あるいは軽量素材開発に向けたイノベーションなど有効な対策の組み合わせによって、32%削減目標を達成することが期待される」としている。