国立がん研究センターと順天堂大学、同大など3大学のベンチャー「メタジェンセラピューティクス」は9日、今月から「胃がん・食道がん患者に対する免疫チェックポイント阻害薬と腸内細菌そう移植併用療法」に関する臨床試験を開始すると発表した。日本初の消化器がん患者を対象とした腸内細菌そう移植の試験となる。
食道がんと胃がんには2020年に約13.5万人が新たに食道がんと診断され、約5.3万人が亡くなっている。免疫細胞の力を回復させる免疫チェックポイント阻害薬により治療の選択肢が広がっている一方で、効果が得られない患者に対する新たな治療法の開発が必要とされている。
腸内細菌そう移植では、健康な人の便に含まれている腸内細菌そうを内視鏡を用いて疾患を持つ患者の腸内に注入し、バランスのとれた腸内細菌そうを構築する。がんに対する患者の免疫を増強して治療の成功割合が高まる効果を期待している。
順天堂大の石川大准教授は「順天堂大学にて2014年から始まった腸内細菌そう移植の臨床研究の症例数は、240例以上に上る。この度、その技術をがん患者さんに応用できること大変嬉しく思う」とコメントしている。