東北大学の大山秀晃医師らの研究グループは、慢性不眠を有する潰瘍(かいよう)性大腸炎患者はよく眠れる集団よりも腸炎の治療強化を必要としている割合が高いと発見した。患者の不眠治療を行うことで腸炎悪化の危険性を低下させられるとしている。
炎症性腸疾患は潰瘍性大腸炎やクローン病など慢性的な腸の炎症を引き起こす病気の総称だ。病状が良くなったり悪くなったりを繰り返すことを特徴としており、症状が増悪する原因は明らかになっていないが、精神的ストレスや不眠がその一因であると考えられている。
グループは慢性的な不眠を有する群とそうでない場合に分け、炎症性腸疾患の病状がどう変化するかを経過観察した。
その結果、慢性的な不眠である集団は、そうでない群に比べて炎症性腸疾患の治療法の変更や強化を必要とした割合が高いことを確認した。特に潰瘍性大腸炎の患者は、慢性的な不眠を有する患者らは、治療変更・強化を要した割合が高いことが分かっている。一方、クローン病患者は不眠の有無で治療内容の変更などを必要とした割合は変わらなかった。
大山医師らは今後について「アンケート調査を拡大し、より多くの患者を対象に同様の検討を行い、不眠に対する治療が腸炎の増悪を抑制する効果があるかどうかも調査したい」としている。