文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL

文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL
エゾイタヤとアカイタヤが別種に分化した可能性? 異なる耐乾燥性と開花期 山形大

エゾイタヤとアカイタヤ。エゾは同時に開花・開葉したが、アカは異なった。山形大、5月撮影

山形大学の研究グループは今月、日本に生息する広葉樹であるイタヤカエデの変種である「エゾイタヤ」と「アカイタヤ」が別種に分化している可能性があると発表した。今後、遺伝子解析による確認をする必要があるとしている。

イタヤカエデは種内変種の総称として使用されることがあり、これは分類に混乱を招いているという指摘がある。近年の遺伝子解析ではエゾとアカが別種であるという可能性が示唆されていたが、生態的な違いなどは不明なままであった。

グループはエゾとアカの分布調査を行い、気象情報から出現確率を予測した。その結果、ロシアのサハリン、アムール川流域にも生息するエゾはやや乾燥した地域か日本海沿岸で出現率が高く、一方で日本固有種のアカは多雪で湿潤な山地を中心に生息している可能性が高いと分かっている。

また、それぞれが分布域する札幌でエゾの葉の耐乾燥・耐塩性はアカよりも高いと判明した。さらに、エゾは開花と開葉が同時進行するのに対し、アカは花の後に葉が開いたという。両者が異なる環境への分布拡大によって遺伝子の交換が妨げられるような進化をとげて、特性の異なる別種に分化した可能性が示されている。