理化学研究所の綿村直人客員研究員らの研究グループは、アルツハイマー病(AD)の病理因子である「アミロイドβ(Aβ)ペプチド」の分解酵素「ネプリライシン」が、脳内神経伝達物質の一つであるドーパミンによって制御されていることを発見した。米学術誌「Science Signaling」に7日付で掲載されている。
研究グループはドーパミンがネプリライシンの活性を調節していることを明らかにしている。中脳の一部である「腹側被蓋野」(ふくそくひがいや)でドーパミン作動性神経細胞を活性化してドーパミン放出を促すと、投射先である前頭前皮質でネプリライシンが活性化してアミロイドβ の減少が観察された。
さらに、薬理学的アプローチとして、パーキンソン病治療薬「レボドパ」をADモデルマウスへ投与すると、ネプリライシンの発現が高まりアミロイド β 蓄積が減少し、認知機能異常が回復することを発見した。
このことからグループは、「レボドパはて有用なAD予防薬となる可能性があることが分かった」としている。