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世界初 アオウミウシを卵から成体まで観察 水族館展示などでも応用可 筑波大

アオウミウシ

筑波大学の中野裕昭准教授らのグループは5日、アオウミウシの卵から成体までの成長過程の観察に成功した。イロウミウシ科の幼生から成体までの飼育は世界初の報告だという。それに基づき、ウミウシの着底後の変態期を2ステージ、幼若体期を7ステージに分類している。

ウミウシ類は巻貝の仲間で、孵化すると貝殻を持つプランクトンとして海中を浮遊する。成長過程で貝殻を失い、漂う状態から着底する生活に移行していく。これまでアオウミウシのようなイロウミウシ科では卵から成体まで育てた例がなく、着底後から成体となる過程は分かっていなかった。

グループはアオウミウシを飼育して産卵させると、6日後に幼生が孵化(ふか)し、1ミリ以下の微細藻を与えて飼育すると、3週間で海底に着地した。その幼若体は海綿動物を食べて成長し、青や黄色からなる模様が完成。触覚やエラ、肛門などの器官が形成されていった。着底後の成長段階を計9ステージに分けている。

中野准教授らは「イロウミウシ科では従来、幼⽣や幼若体、成体の適切な飼育条件が不明であったが、本研究の飼育法は他種においても応⽤可能であり、⽔族館展⽰などの商業利⽤においても貢献できる」と説明している。