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マラリア媒介蚊を殺虫する「ネオニコチノイド系殺虫剤」の作用を解析 マラリアとデング熱の感染抑制に期待 近畿大など

近畿⼤学と⼤阪⼤学、岡⼭⼤学、英ロンドン⼤学などの国際研究グループは、マラリアを媒介する蚊(か)「ガンビエハマダラカ」に対するネオニコチノイド系殺⾍剤の作⽤機構を解析した。研究成果からマラリアだけでなくデング熱の抑制にもつながると期待されている。

マラリアは年間で約2億人が感染し、およそ60万人が亡くなる病気だ。ガンビエハマダラカの吸血によりマラリア原虫が体内に侵入して発症する。対抗策の1つに殺虫剤があるが、その抵抗性を獲得したガンビエハマダラカが増えており、新たにネオニコチノイド系殺虫剤の利用が検討されているが、その作用メカニズムは分かっていなかった。

研究ではガンビエハマダラカの神経伝達に重要な13種のニコチン性アセチルコリン受容体に対する、6種類のネオニコチノイド系殺⾍剤の作⽤メカニズムを解析した。その結果、6種類の殺⾍剤の効き⽅が異なることを⾒いだし、うち1つは受容体に対する結合のメカニズムを結晶構造から明らかにしている。

研究成果はガンビエハマダラカの防除に有効な殺⾍剤の開発を促し、マラリアの抑制のみならず⽇本での拡⼤が懸念されるデング熱の抑制にも利⽤可能だという。グループの一員である近畿大の松田一彦教授は「この成果が、少しでも昆⾍が媒介する恐ろしい感染症の抑制に寄与するとよい」とコメントしている。