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すい臓がん患者の腹の免疫細胞が生存率に影響 生存関連因子として初発見 東北大・理研

東北大学の野口彩教授と理化学研究所の山本陽一朗チームリーダーらの共同研究グループは、すい臓がん患者の腹腔内の免疫細胞の比率が生存率に影響することを、人工知能(AI)を用いて明らかにした。生存関連因子に腹水を用いることは初めて。

膵臓がんは難治で生存率の低い疾患であり5年生存率が10%未満であることが知られている。生存率改善に向けた研究が進んでいるが、これまで低刺激で観察可能な腹腔内の細胞とすい臓がん患者の生存期間との関連は明らかではなかった。

研究グループは、すい臓がん患者の腹腔細胞から生存関連予測を行う過程で、人工知能(AI)が、短期生存群と長期生存群の分類の際に腹腔内の免疫細胞を重要視していることを見つけた。

腹腔内細胞を確認したところ、短期生存の患者には「腹腔内好中球」が、長期生存の患者には「マクロファージ」が存在する確率が高いことが判明した。生存関連因子として血液やがん内の免疫細胞の影響は報告されていたが、腹水を用いることは初めてだという。

研究グループは「他臓器の疾患に対しても研究を行うと共に、悪性腫瘍の超早期の予測・予防への貢献を目指して生存関連因子の機序の解明を進める予定だ」としている。