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歯周病予防をバイオマスから目指す 食品由来の誘導体の抗菌効果を検証 大阪公立大

大阪公立大学の神谷重樹教授らの研究グループは、抗菌活性を持つ「プルニンラウリン酸エステル」(Pru-C12)など食品由来のフラボノイド誘導体 7種類について、歯周病原細菌「Porphyromonas gingivalis」(P. gingivalis)に対する抗菌効果を検証した。その結果、プルニンラウリン酸エステル(Pru-C12)が最も抗菌活性が高いことが判明しました。

研究では、柑橘類由来のフラボノイドとココナツなどに含まれるラウリン酸のリパーゼ処理により7種類のエステルを作製し、P. gingivalisに対する抗菌活性を調べた。

その結果、最も抗菌活性の高かったプルニンラウリン酸エステル(Pru-C12)は、濃度10マイクロメートルで細菌の増殖を抑制し、50マイクロメートルでバイオフィルムの形成を阻害、また、100マイクロメートルの高濃度でも細胞毒性を示さないことが判明した。

そこで、Pru-C12をP. gingivalisに感染した歯周病のモデルマウスに投与したところ、あご骨の一部である「歯槽骨」(しそうこつ)の吸収を抑制することが分かった。Pru-C12 は無味で低刺激性であり、柑橘類の皮やココナツ由来の成分などバイオマスが原料のため、SDGsの観点からも有用な抗菌物質であるとしている。

グループは「今回のPru-C12は、原料にバイオマスが利用できるため、人での安全性などが確認できれば、安価な抗菌物質を提供できる可能性がある」とコメントしている。