京都大学の有松亘特定助教らの研究グループは、探査機「はやぶさ2」の拡張ミッションのターゲット小惑星「2001 CC21」による恒星を隠す現象(恒星食)の解析により、小惑星の形状を推定することに成功した。小惑星が細長い形状を持つことを明らかにしている。
恒星食は小惑星などの太陽系天体が背景の恒星を覆い隠す際に発生する天文現象だ。2001 CC21は直径500mと推定される小惑星。2026年に超高速で接近し、すれ違いざまの時間に表面の様子などを探査する予定となっている。
アマチュア天文家の観測チームは23年3月に予報されていた2001 CC21による、きりん座に位置する10等星の掩蔽(えんぺい)現象の観測を20地点で実施。1地点で0.1秒程度の減光に成功した。1キロ未満のサイズの小惑星の掩蔽観測の成功例はほとんどなく、歴史の残る成果だという。
この観測データから2001 CC21の形状を推定するため、データ解析手法「ドウシテ」を開発。解析結果により、観測された光度変動は長径およそ840 m、短径が約310 mの楕円形の影を仮定したモデルで最もよく再現できると分かった。2001 CC21の影の短軸と長軸の比がおよそ0.37であることが判明している。
このデータは26年のミッション成功に向けた重要な資料になるという。また、グループは「アマチュアとプロの天文学者が協力して成果を上げたことから、市民科学の成功事例としても注目される」と評価している。