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低軌道衛星通信を活用した遠隔手術システム 世界初の実証実験 医療格差是正や災害時の医療支援に貢献 阪大など

大阪大学と徳洲会グループ、医療ロボットの「リバーフィールド」は、低軌道衛星通信を用いた移動型遠隔手術システムの実証実験を世界で初めて実施した。遠隔でも通常のロボット手術と同様に縫合(ほうごう)や糸を結ぶことなどが可能であることが確認されている。

地方では深刻な医師不足が続いており、遠隔手術システムはその問題解決の切り札とされている。実証では手術支援ロボット「Saroa サージカルシステム」を使い、米スペースX社の衛星通信を介した遠隔手術と通常の手術を比べた。病院内の実験室と屋外のトラックをつないで行った。

その結果、縫合や糸を結ぶことが通常時と同様にできると確認され、画質の高いフルハイビジョンの滑らかな画像伝送に成功したとしている。へき地と都市部の医療格差の是正や災害時の迅速な医療支援、地域の医師のトレーニングなどに活用できそうだ。

阪大の中島清一特任教授は「長い間理論的には可能だが、あくまで実験的な取り組みに過ぎないとされてきた。近年のめざましい技術革新で急速に現実味を帯びてきており、技術的な課題は残っているが、企業とともに克服していきたい」としている。