東北大学の蝦名裕一准教授は、津波が発生したとされる1616年の仙台地震について史料的根拠がないと明らかにした。年代の誤記が地震研究に引用され、津波が起きていたという通説につながっていたと考察している。
仙台藩の史書「貞山公治家記録」(ていざんこうじかきろく)などには、1616年に「仙台にて地震が発生し、仙台城の石垣や櫓(やぐら)が破損した」と記されている。一方で、これを論証する決め手はこれまでになかった。
1797年の「大槌古今代伝記」(おおつちこきんだいでんき)には、「1616年10月28日に津波が発生した」という記述がある。が、複数の資料を照合するとこれは1611年の「慶長奥州地震津波」のことだと判明。大槌古今代伝記が間違っていると認められた。
蝦名准教授は「過去のさまざまな災害に関し、元の歴史資料に立ち返ってその実相を明らかにして津波発生頻度のより正確な推定など今後の防災に生かしていくことが重要だ」としている。