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フグにフグ毒を与えて育てるとどうなるのか? 脂質や糖代謝に変化 東大と長崎大

トラフグ

東京大学の濵﨑恒二教授と長崎大学の阪倉良孝教授らの研究グループは31日、人工的にふ化、飼育した無毒のトラフグ稚魚にフグ毒の「テトロドキシン」(TTX)を混ぜたエサを与えると腸内細菌そうが変化すると初めて明らかにした。知見を生かすことでより適切な資源管理につながると期待されている。

フグ毒の役割は分かっていないが、他の魚からの捕食を回避する効果やフグ自身のストレス軽減効果が報告されている。フグはエサを通じて体内に毒を蓄積することが知られるが、エサ由来のフグ毒の摂取が腸内細菌に影響を与えるかは不明であった。近年、TTXが一部の細菌に増殖阻害効果があるとされており、フグにも影響を与える可能性が示されている。

TTXを混ぜた飼育実験の結果、トラフグに腸内から1235種の細菌が確認された。主な細菌はマイコプラズマ属とブレビネマ属、ビブリオ属となっている。通常(30ppt)よりも低い塩分濃度1.7ppt環境ではアーコバクタ―科細菌が増加した。

細菌種の違いがフグに与える影響を調査するため、腸内細菌の機能的な違いを比べたところ、脂質や糖代謝に違いが出る可能性があると判明している。

グループは「腸内細菌そうの機能的な変化が、フグに対して良い影響を与えるのか悪い影響を与えるのかについては現時点では分からない」と評し、「こうした点について明らかにすることで、より良い飼育環境の構築や自然環境における生態解明を通じた適切な資源管理につながる」と紹介している。