神戸大学大学院理学研究科の末次健司教授(兼 神戸大高等学術研究院卓越教授)は、フユザキヤツシロランという光合成を行わないラン科植物が、キノコ食のショウジョウバエと特殊な共生関係を築いていることを明らかにした。
この植物は、キノコ食のショウジョウバエに花粉を運んでもらう見返りに、傷んだ花びらを幼虫の餌として提供していた。
フユザキヤツシロランは、地下でキノコの菌糸を取り込んで栄養を得る菌従属栄養植物です。菌従属栄養植物は、自身が栄養とするキノコと似た成分を持つことが知られている。つまり、キノコを〝食べる〟ことが、フユザキヤツシロランがショウジョウバエと共生できた秘訣である可能性があるという。
ラン科植物は約2万5000種からなる世界で最も種数の多い科だが、ラン科全体でも花粉の運び屋に繁殖場所を提供する送粉システムが発見されたのは、末次教授の研究が世界でも初となる。
この研究成果は、国際誌「Ecology」で8月23日にオンライン掲載された。