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体色変化をカモフラージュと意思表示に利用 メダカが尾ビレの色で威嚇 東北大と岡山大

セレベスメダカの背景環境の変化による体色変化と集団飼育条件下における体色変化

東北大学と岡山大学の研究グループは、インド原産のメダカ「セレベスメダカ」の体色変化が、環境に応じてカモフラージュとコミュニケーションに使われると明らかにした。24日付の英科学誌「バイオロジー・レターズ」に掲載されている。

カメレオンやタコ、イカは体の色を変化させてカモフラージュを行う名人だ。体色変化は求愛やライバルの威嚇(いかく)にも用いられるという。だが、どのような遺伝子や神経基盤の変化を経て、機能の転用が起こったのかはさだかではなかった。

この問題に取り組むため、セレベスメダカに着目した。このメダカは尾ビレが1分以内に黒や白に変化をする魚だ。だが、それが他個体との意思疎通でどのような意味を持つのかは分かっていなかった。

調査したところ、背景が暗い環境で黒色模様を持つオスは他個体に頻繁に攻撃をすると判明。一方で、明るい場所では黒色模様をもつオスと攻撃行動の両方が確認されていない。グループは黒色は威嚇の表情で、明るい場所では風景に溶け込むことが優先され脅かすことができなかったと分析している。

グループは「近年リファレンスゲノム情報の整備やゲノム編集技術の適用が進んでいることから、カモフラージュ形質がどのようにしてコミュニケーション手段へと転用されたかに関する詳細な分子・神経メカニズムの解明が期待される」としている。

※リファレンスゲノム

ある生物種のゲノムについて、詳細に解読されたゲノム配列情報のこと。一般的にこのゲノム配列情報は、同じ種の他の個体のゲノムを解析する際に基準となる配列として使用される。