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細川家文書をAI-OCRで5万枚解読 未知の基金や疫病を発見 熊本大×TOPPAN

左から)奉行所日帳、奉書、御国御書案文

熊本大学とTOPPANは26日、歴史資料「細川家文書」のうち解読が困難な約5万枚を文字識別の「AI-OCR」により解読した。950万文字のテキストデータを生成することに成功している。両者は新しく発見された災害関連の記録を活用することで、現代の防災意識の醸成、防災計画の策定などへの活用を目指すとしている。

解読した古文書は、細川家奉行所の執務記録である「奉行所日帳」、藩主細川忠利の口頭での命令を日次に記録した「奉書」、参勤中の細川藩主が国元の家老・奉行衆に発した書状の控えである「御国御書案文」、小倉・熊本の惣奉行(そうぶぎょう)衆から各業務を担当する奉行たちへ発せられた指示書類の控えである「方々への状控」などおよそ5万枚。

災害に関するキーワード「大雨」、「虫」、「飢」、「疫」などで調査したところ、300件以上の洪水や作物虫害、飢きん、疫病の発生を発見。それらの中には、未知の気象災害に起因する大規模な飢きんと疫病の蔓延に関する記述が確認された。

熊本大学の稲葉継陽教授は「(AI-OCRは)膨大な古文書の読み手が足りない地方文化財行政の現場にとっても、きわめて有益な新技術となる」とし「長期にわたる地震や気象災害、さらにパンデミックの発生傾向を瞬時に把握することが可能となる」とコメントしている。