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初期地球の内部環境は酸素濃度で制御 マントル融解温度は従来推定より500度以上高い 岡山大など

岡山大学とオランダのアムステルダム自由大学、独バイロイト大学などからなる国際研究チームは、地球マントル岩石の融解実験を行い、高酸素濃度下でマントル岩石が溶けだす温度(融解温度)が低酸素濃度よりも低いことを明らかにした。この知見を考慮することで岩石惑星の成り立ちや構造理解につながると期待されている。

約46億年前に誕生した初期地球は、マントル岩石が溶けたマグマの海に覆われていたとされる。現在の地球にような構造に至るまでのプロセスを知るために融解温度が大切とされる。これまでの研究から得られた始原マントル岩石の融解温度は、重大な未解決問題の一つとなっていた。

研究では酸素濃度の上昇に伴い、マントル岩石の融解温度が急激に低下することを明らかにした。初期地球は現在の地球よりも低い酸素濃度であったとされ、当時のマントル岩石の融解温度は、従来推定された温度より500度以上高いことが分かった。現在の地球への進化には酸素濃度が大きく関わっていたことが明らかになっている。

チームの石井貴之准教授は「現代に生きる私たちが約46億年前から始まった地球の歴史を知ることは容易ではない。今回の成果は、そんな初期地球という未知の世界を知るうえで重要な要因の一つを発見した」とコメントしている。