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うつの自覚症状と他覚的評価を発見 世界で初めてfMRIで特定 東大

前頭極と楔前部間の脳機能的接続のイメージ

東京大学の岡田直大特任准教授らのグループは、気分障害でうつの自覚症状が優位な群では他覚的評価が優位な群と比べて、前頭極-楔前部間の機能的接続が大きいことを明らかにした。世界で初めて機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて、うつの自覚症状と他覚的評価のかい離に関わる脳回路を特定した。25日付の英科学誌に掲載されている。

研究では、気分障害(大うつ病性障害、気分変調性障害、双極性障害)の患者124人を対象に撮像した安静時の fMRI 解析により、うつの自覚症状と他覚的評価のかい離と関連する脳機能的接続を調査した。

研究では、自覚優位群47人と他覚優位群46人の脳機能的接続を比較した。その結果、自覚優位群では他覚優位群と比べて、前頭極と楔前部間の機能的接続が大きいことが分かった。

これらの部位は、脳内で神経活動を同期する「デフォルト・モード・ネットワーク」に含まれると知られ、うつにおけるネガティブ思考や自己に関連する情報処理と関連することが報告されている。一方、他覚優位群が自覚優位群と比べて大きい脳機能的接続は、認められなかった。

次に、自覚優位群でも他覚優位群でもない患者を含めた全患者124 人を対象として、解析で見いだされた前頭極と楔前部間の接続が、自覚・他覚のかい離の程度と関連するかどうかを調査した。その結果、自覚症状が優位なほど機能的接続が大きいことが示されている。

研究グループは空間的解像度の高いfMRIを用いて全脳解析を実施した点において新規性があると評価。「本研究を足がかりにして、このような人間独自の精神機能について、その脳神経メカニズムがさらに解明されることが期待される」としている。