筑波大学の山際伸一准教授は、映像など無限に流れるデータを圧縮器に通すだけで頻出するデータのパターンを自動的に見つけて復元する技術を開発した。消費電力の大幅な削減が期待できるという。
従来のデータ圧縮技術ではデータを有限なある程度のまとまりとして記録し、それを圧縮していたため、記録するメモリーやデータを処理する機器が不可欠であった。そのため、終わりなく流れるデータ(データストリーム)を圧縮する場合、機構が大がかりになる一方で、その場での圧縮はできないという課題があった。
研究ではデータストリームを圧縮機に一度通すだけで、沢山現れるデータパターンを自動的に探し出し、最小で1ビットに圧縮できる技術を発明した。どのようなデータでもリアルタイムでもとに戻せるという。
これまでの技術では一つの単位データを1ビットにまで圧縮することは可能であったが、新方式では複数の単位データをまとめて1ビットにできる。これは、従来方式に比べて圧縮効率が10~30%向上している。新技術はプロセッサーやメモリーを利用せずに、高速でコンパクトなデータ圧縮機能のハードウェア化が容易にできる特色がある。
グループは「ハードウェア化においても可能な限りコンパクトで高速動作する構成を追求し、IoTやクラウドへの応用を目指している」という。「省電力効率や性能向上率についても、人工知能やアプリケーションを中心に実験し、社会実装を進めていく」としている。