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残膵がんの発生様式を明らかに 治療やリスク評価に貢献 東京医科大

東京医科大学

東京医科大学の鈴木修司主任教授と東北大学の古川徹教授らの研究チームは、膵がん切除後の残膵(すい)に発生するがん(残膵がん)の研究で、残膵がんと先行膵がんの分子異常プロファイルを比較することで残膵がんの発生様式を明らかにすることに成功した。膵臓がん治療で残膵がんリスクを評価し、効果的な観察ができる可能性が示された。

近年、膵臓がんの診断治療法が進歩したことにより、残膵がんが観察されるようになってきた。これらは発見時に進行がんであることが多く、外科的に切除できず不良な経過をとることがしばしばだ。より早期に発見し切除できれば改善できる可能性があるが、残膵がんは単独施設での症例は少なく、多施設での検討が必要であった。

グループは先行膵がんと残膵がんを比較して直系発生と分岐発生、独立発生に分類できることを明らかにした。同一の細胞以上が少ないほど発生までの期間が長くなり、多くの残膵がんは分岐発生であり、先行膵がんの先祖クローンが潜在する形で広がっていると判明している。

鈴木主任教授らは「膵臓がん治療時の遺伝子パネル検査が広く可能となった場合に残膵における発がん予測ができるようになる可能性が示された」と評価。「発がんクローンに対する効果的な治療戦略を立てることで膵がんの予後を改善できる可能性が示された」としている。